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当然
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Carl Zeiss Planar T*50mm F1.4 / SONY α100



かつて姉が逝き、最近母がペースメーカーを埋め込む手術を受けることになったある大きな病院で、パンフレットのお仕事をさせていただくことが出来ました。

僕がコンペで勝つことは、けしてよくあることではありません。
姉が勝たせてくれたのだと、母は言うかも知れませんが、
そんなことよりも、僕はさせていただいたことにただ感謝したいのです。


【当】
白川先生によれば【当】の本来の形は「當」で、声符である「尚」と「田」を組み合わせた形であったといいます。
「尚」は窓際に神さまを迎える形であるから、田畑に神さまを祀る儀礼を表していたのではないかと推測されています。
また「尚」は「嘗」にも繋がる文字で、「當」と「嘗」は意味合いにも通ずるものがあることも指摘されています。
「嘗」とは神さまの供薦を受けることを表すそうです。

その関連を裏付けるように「當」という字に言及した「管子」の一節を先生は引用されています。
「變(変)に應(応)じて失わざる、これを當(当)と謂う」
状況によって変動する結果ではなく、何か別の不動の要因によって選ばれることを当たるというのだと。

事に【当たる】とは、自らこれを成そうとすることではなく、
それを行うに相当する者が、順当に選ばれた結果、事に【当たる】ことが許される、あるいは命じられるのだと僕は思うのです。


デザインとは、勝つか負けるかの世界の話ではないのだと僕は思っています。
当然あるべきものが、当たり前にそこにある。それがデザインなのだとしたら、
それに当たった者も相当に理由があってそこに居たのです。


それはもう【当】だらけの世界の話です。

今回のお仕事、いろいろな方にお世話になって、いろいろな方たちと一緒に作らせていただいたパンフレットです。
関係していただいたみなさんには不甲斐ないデザイナーであったと詫びいるばかりですが、当然そこに後悔はないのです。
それでもこの仕事は僕がやらせていただくべき仕事だったと僕は思っているからです。
腑に落ちないこともあるかもしれませんが、すみません。そこは了解して下さい。

ただただ深く感謝しています。本当にありがとう。

さあ、もうすぐ校了です。
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by chii-take | 2011-02-26 01:04 | Comments(2)