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奈良と遊ぶ人へ。
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「倭(やまと)は国のまほろば」という言葉があります。
その昔、都のあった奈良を指して、この国の最も美しくすばらしい土地はここだと言っている言葉なんですが、
僕は基本的に嘘だと思っています。

日本最古の歴史書『古事記』に書かれた倭建命の辞世の歌に登場し、万葉集などでも幾度か使われたこの言葉。
歴史的にすかっり定着してしまった感がありますが、でもよくよく見ていると、これを言っていた人はたいがいが倭の人なわけで、要するに「オラが故郷が一番だべ」と言っているわけです。
そういう個人的な思い込みで「国のまほろば」とはよく言ったものです。

でも彼らが心の底からここを「最も美しくすばらしい土地」だと思っていたことは疑いません。
僕と彼らは同郷だからわかることがあります。
彼らほど大仰ではないにしても、僕も、「奈良は僕のまほろば」くらいには思っています…。

先日何気なく雑誌をめくっていたら「奈良FUNK」という言葉が目にとまりました。
何のこっちゃと思って記事を読んでみると、Kinki kidsの堂本剛が自分のソロプロジェクトである「ENDLICHERI☆ENDLICHERI」の音楽を指してそう呼んでいることがわかりました。
なんでも作曲をするときや曲のテーマを決めるときに、生まれ故郷である奈良のことを思い浮かべることが多いらしく、「奈良は自分の原点」と言って奈良を全面にアピールした創作活動を展開しているのだそうです。

随分大袈裟だなあと思ったのですが、実際に奈良とは関係のない東京に拠点を置き、日本全国やアジア全域という規模で音楽活動を展開する彼にとってはそこまでアピールしてもまだ足りないくらい思い入れのあることなのかも知れません。
幸いにも奈良に住めている僕が大袈裟だなんて言ったら本気で怒られそうです。


彼のアルバムの宣伝広告には以下のようなメッセージが書かれています。

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雨の存在。
水の存在。
身体の存在。
今も昔も変わらない
人の中に眠るエネルギー。
眼にみえない世界や景色を
信じる力や想う努力。
昔の人々が話した
神話などに宿る純粋な感覚や想いの様に
自分が生きてゆく事の
重大さと重要さを真剣に正面から捉え
そして
自分を取り巻く全ての景色に
感謝の意を込めながら、この詩を感じて下さい。
ENDLICHERI☆ENDLICHERI


補足。
奈良で生まれ育った私の『奈良FUNK』
奈良の景色に、大切な過去や、現在、そしてこれからを
重ね想い作った曲です。

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この言葉を読んで、とても遠いところにいる、それこそ国民的アイドルという想像もつかないような立場にいる人の思いが、僕の思いとまったく共感できるものであると知って、とても嬉しかったのです。
奈良に住める喜びを、その幸せを改めて知りました。



今日は生まれ故郷から遠い土地に居てなお、故郷を思う人のことを思い、この二つの文字を…。

【旅】
白川先生によれば、方と人を組み合わせた(えん)という文字に、
从(じゅう)という文字を組み合わせてデザインされた文字で、
旗竿をを持つ人とそれに従う人々を表しているそうです。

旅するものは常にその土地の知られざる神さまに脅かされる存在であるから、
本貫の土地を離れて旅をするものは、もといた土地の氏族の神さまを標識とする旗をかかげて旅をしたといいます。

そのように旗をかかげて、神さまと共に行くことを【遊】というそうです。
古くは神さまが土地を離れてあそぶこと、自由に行動することを意味しましたが、
のちに人が興のおもむくままに行動することも「あそぶ」というようになったと白川先生はいいます。

そういえば、帰宅時間も忘れて日が暮れても遊んでいた幼い日も、
暖かい家がいつでも自分を迎えてくれることを知っていたからこそ、
親に心配をかけながらも、僕たちはいつまでも夢中になって遊んでいられたんですね。


いつどこに在っても、大切なものを大事に思う心と共に在れば、
どこにいたって同じ思いで日々を過ごせるはず。
奈良はいつでも側に在ります。

だって僕たちは同郷。
奈良は僕たちのまほろば。





写真は若草山のてっぺんから撮影しました。手前が東大寺。左上に平城京跡が写っています。
広角レンズがあれば「たたなづく青垣」と倭建命が詠った美しい葛城生駒山地の稜線がもっと収められるのですが、う〜む残念。
若草山写真こちらにもあります。

なんのことはないただの古い街なんですが、僕はこの街が好きです。
by chii-take | 2007-05-01 00:42
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